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Zガンダムはつまらない?わかりにくい理由とあらすじをネタバレ解説!

Zガンダムはつまらない?わかりにくい理由とあらすじをネタバレ解説!

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こんにちは!

ウチの部屋へようこそ!

今回はZ(ゼータ)こと「機動戦士Zガンダム」についてのネタバレ解説です。

1985年の放送当時から、つまらない、わかりにくい、暗すぎる、鬱展開と酷評される声もあったものの、約35年が経ち再び注目されているようです。

その中でも「わかりにくい」という言葉が数多く見受けられます。

この作品では登場人物たちが強い意志を持って、本当に大胆に様々な行動をとっていきます。

その理由は様々ですが、裏切りや寝返り、共闘と愛憎…その結果、皆殺しと言っていいほどのラストを迎えます。

アムロやシャアなど、前作のキャラクター達も7年の歳月を経て登場します。

当時としてはガンダムという作品の集大成であったZガンダムですが、その作風の暗さ、物語の難解さから賛否両論がありました。

「初めてだからちょっとわかんないや…」というのも仕方のないところです。

しかし、それが理由で見るのをやめてしまうのは、あまりにももったいない!

僕は当時からこの作品のファンであり、30年以上経った今でも見返しています。

そこで今回は、特にわかりにくいとされる「勢力」を切り口として解説していこうと思います。

それでは「Zガンダムはつまらない?わかりにくい理由とあらすじをネタバレ解説!」

行ってみましょう!


Zガンダムはつまらないのは何故?わかりにくい理由と勢力について解説!

近年、家庭用ゲーム機やゲームセンター、更にはパチンコ、パチスロなどでガンダム作品が取り上げられる機会が増え、Zガンダムも作品そのものに注目が集まっています。

ゲームやパチンコの演出で出てきた場面って何かよくわからないけどカッコいいな、と思って調べてみると予想以上に複雑になっていて、とっつきにくい、ということのようです。

ガンダムを知らない人にとっては、なかなかハードルが高いかもしれません。

Zガンダムの第1話を見た時、僕が感じた疑問は次のようなものでした。

  • クワトロって誰?シャアが味方なの?
  • アムロは出てこないの?
  • この黒いガンダムは何?

同じような疑問を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。

ガンダムと言えば、アムロとシャアですよね。

序盤ではクワトロ・バジーナと名乗る、どう見てもシャアっぽいキャラクターが出てきます。

実際にその正体はシャア・アズナブルその人です。

また、アムロはもう少ししないと出てきません。

この作品での登場は14話からになっています。

また、この黒いガンダムは「ガンダムmk.Ⅱ(マークツー)」と言い、序盤の主人公が乗るモビルスーツなのです。

「機動戦士Zガンダム」は地球連邦軍内の「ティターンズ」「エゥーゴ」という2大勢力の対立から始まります。

言ってみれば内輪もめです。

物語の終盤には「アクシズ」という勢力も登場し、この3つが手を組んだり裏切ったりしていきます。

登場人物たちの思惑が次々と入り混じる、非常に見ごたえのある人間ドラマです。

この要素の多さ、人間関係の絡みや複雑さが難解と言われる理由のひとつかもしれません。

それでは、勢力について順に見ていきましょう!

 

ティターンズとエゥーゴって何が違うの?

まず、地球連邦軍の中には「ティターンズ」「エゥーゴ」という2つの勢力があります。

ざっくりまとめると以下の通りです。

ティターンズ

  • 地球出身者の精鋭部隊
  • ジオン軍残党根絶の為に結成
  • 強引に大量虐殺などの非人道的な行動を起こす
  • 現在の活動はエスカレートし、宇宙移民者自体をを敵視し弾圧している状態

名前の由来:

ギリシャ神話で地上を支配していた巨人のティーターン神族から。

英語表記はTitan。

名前からすでに、地球出身者はエライのだ!中でも俺たちは特に選ばれた人間なのだ!

…という意識が透けて見えます。

「○○にあらずば人にあらず」どこかで聞いたような話ですね。

 

エゥーゴ

  • 宇宙移民者が中心の組織
  • ティターンズに対抗するため秘密で結成された
  • 序盤ではティターンズと比べると弱小勢力

名前の由来:

反地球連邦組織の頭文字を取り「A.E.U.G.」をエゥーゴと読みます。

地球連邦政府に反対するテロリスト集団ではなく、反ティターンズ派として活動を疑問視したことで生まれた組織です。

あくまで、主旨はティターンズの活動を抑え込むことです。

宇宙移民者が中心で、連邦軍だけでなく元ジオン軍の兵士も多く存在します。

序盤ではティターンズとエゥーゴがすでに対立していて、その争いの渦に主人公のカミーユが巻き込まれていきます。

この一連の争いをグリプス戦役と呼びます。

ティターンズを見ると、エリート意識から他人を見下し、やがて抵抗するものを敵視するようになる…架空の設定だけではなく実際にもありそうですよね。

一方エゥーゴでは、宇宙移民者でジオン軍出身だけどエゥーゴに参加、などの込み入った事情を抱えた人物が大勢います。

地球連邦軍には内輪もめをしているの二つの派閥様子見の多数派がいる、という構造です。

 

アクシズって何?

アクシズはティターンズ、エゥーゴに次ぐ第三の勢力として物語の終盤に登場します。

この頃にはティターンズとエゥーゴの力関係は逆転していてエゥーゴが優勢になっていました。

アクシズ

  • 木星のアステロイドベルトの小惑星のひとつを拠点とする勢力
  • そのまま小惑星の名前でもある
  • ジオン軍敗残兵が多く逃げ込んだ軍事拠点
  • 小惑星に取り付けられた核パルスエンジンで移動も可能

名前の由来:

英訳の枢軸国を意味するAxis Powersから。

枢軸、とは中心という意味に近く、第2次世界大戦時にドイツとイタリアが同盟関係を結んだことからこの言葉が生まれたそうです。

あまり良い意味ではない同盟関係のことを指す、といったニュアンスでしょうか。

アクシズの内情は次のようになっています。

  • アクシズではジオン軍の正統な後継者を擁護
  • その後見人かつ指導者は若干19歳の女性、ハマーン・カーン
  • アクシズ内部でも強硬派と穏健派の2つが存在

もともと、シャアはここに落ち延びたアクシズ穏健派の一人でした。

アクシズから地球圏の偵察という名目で、クワトロ・バジーナという偽名でエゥーゴに参加した、という事実がこの時明らかにされます。

いわばアクシズのスパイだったわけですが、この時点ですでにクワトロ=シャアはエゥーゴの指揮をする立場になっていました。

アクシズ参入で3大勢力が出そろったわけですが、ここからドラマはクライマックスを迎えます。

 

各勢力のビフォーアフター

エゥーゴとティターンズの内部抗争を始めとして、アクシズが参戦、終結までの戦争を「グリプス戦役」と呼びます。

グリプス戦役は最後の戦闘でティターンズは壊滅、エゥーゴに降伏を宣言したことで終結します。

この戦いの後、エゥーゴ、ティターンズの両勢力は多くの兵力を失い弱体化しました。

エゥーゴはグリプス戦役にかろうじて勝利したものの多くのパイロット、モビルスーツを失いました。

戦力と呼べるものはほとんどない状態です。

ティターンズも組織として事実上壊滅し、ごく一部が小惑星に立てこもり抵抗を続けていました。

アクシズだけは両者の間で上手く立ち回り、ベテランパイロットの多くを失ったものの戦力の多くを残したまま撤退します。

グリプス戦役の終結とともに、Zガンダムという物語はここで終わります。

つかの間の平和が訪れるわけですが、それは新たな戦いの幕開けでもあったのです。

Zガンダムが生まれてからもう30年以上が経ちますが、いまだに語られ続けるのはこの難解さ、複雑さに現実的な厚み、深みを感じるからではないかと思います。

 

暗すぎるドラマの理由は?

このように、Zガンダムは「グリプス戦役」という一連の戦いを通して、キャラクター達が様々に影響し合い、変わっていく様子を描いています。

最後には多くの登場人物が亡くなっていき、何かすっきりしない欲求不満のようなものが残ってしまいます。

物語が描こうとしたテーマによるものでしょうか。

「機動戦士ガンダム」という作品で、人類はニュータイプという新しい能力に目覚め、誤解なく解り合うことが出来るのではないか?

つまり人類の可能性と希望、人の革新がテーマでした。

希望の未来から一転、今作「Zガンダム」ではニュータイプの相互理解の限界を描いているのです。

Zガンダムでは登場人物の多くが、わかり合える可能性があったにもかかわらず、自分からそれを拒絶するシーンが多々描かれています。

主人公のカミーユが非常の繊細で不安定な人物に設定されていることも原因のひとつなのでしょうか。

ここからは主人公であるカミーユ富野由悠季監督についてみていきます。

 

カミーユの境遇

Zガンダムの主人公、カミーユ・ビダンは17歳の高校生、自分の名前が女性的であることに強い劣等感を感じて育ちます。

両親はどちらも連邦軍の技術士官であり新型モビルスーツの開発に携わっています。

父は不倫をしており、それは母にもカミーユにも知られてしまっています。

カミーユは両親から得られるはずの愛情に対する飢餓感によって、繊細で傷つきやすく内向的で不安定な性格となってしまいます。

人の顔色を敏感にうかがいながらも、ちょっとしたことでキレてしまうという、周りから見ると「腫れ物に触るような」性格です。

これは後に監督の富野由悠季氏が「当時のキレやすい若者の代表として設定した」と語っています。

カミーユは物語のラストで、自分の使命はシロッコを倒し戦いを終わらせることだと悟ります。

シロッコはティターンズの軍人で「常に世の中を動かしてきたのは一握りの天才だ!」と終盤のセリフで語っており、この天才が自分であると考えています。

俗にいうラスボスですね。

そして表立って活動するのではなく、隠れて裏から歴史を操ろうと目論む策謀家です。

カミーユはシロッコが争いの元凶であることを見抜き、最後に戦いを挑みます。 

この戦いでカミーユは自分の限界を越えてしまい、その精神は崩壊し心神喪失に陥ってしまいます。

「自分の範囲を越えてしまっているカミーユを崩壊させないわけにはいかなかった」と冨野監督は語っていました。

それは当時の冨野監督の投影であったのかもしれません。

 

Zガンダム製作の経緯と冨野監督

このZガンダムの企画が立ち上がった時に、サブタイトルとして「逆襲のシャア」がつけられていました。

前作「機動戦士ガンダム」では人の革新を信じながら、自分の復讐を優先してしまったシャア。

今度こそ人類全体のニュータイプへの変革を目指し、その為に行動していくつもりであったことでしょう。

冨野監督は、今度こそ人類の革新を目指して行動するシャアをこの作品で描くつもりだったのかもしれません。

また、企画段階では「ガンダムはこれで終わりにする」と当時のインタビューで応えています。

Zガンダムの「Z」は本来ギリシャ文字のζ(ゼータ)ですが、最後という意味でアルファベットの最後の文字である「Z」を取りました。

そしてガンダムの続編であることから「2」の文字の形に似ているため「Z」と付けたそうです。

しかし「機動戦士Zガンダム」放送途中から状況が一変します。

ガンダムの新作映画の企画が持ち上がったのです。

これがのちに「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」として公開されるわけです。

当時から冨野監督の所属する製作会社「サンライズ」はガンダムで当時空前のブームを巻き起こした冨野監督に新たなヒットコンテンツを期待していました。

そこから、冨野監督はリアルロボットアニメというジャンルを確立し、数々の作品を世に送り出します。

しかし、どの作品もガンダムには及びませんでした。

結果的にファンの望むもの、スポンサーが納得する形として「ガンダム2」という企画が立ち上がる訳です。

冨野監督としては別作品でガンダムを越えたいと色々挑戦を繰り返してきたものの、最終的には自分の作ったガンダムの続編を作るしかなくなった状況です。

これは複雑な心中だったと思います。

自分の作り出した過去の実績を越えられない、というところが出発点になってしまっているからです。

そこで、冨野監督の打ち出したテーマが「人の理解の限界と挫折」です。

これは僕の個人的な解釈ですが、ガンダムを越えようとして越えられなかったことがこのテーマになってしまった理由ではないでしょうか。

当時の冨野監督の心象風景がテーマに色濃く反映されており、それが暗い展開と呼ばれる理由の一つなのかもしれません。

 

映画版3部作「機動戦士Zガンダム」とは

このようにテレビシリーズとして1年間放送された「機動戦士Zガンダム」ですが、その放送20周年を記念して2005年5月から2006年3月まで劇場版3部作として公開されました。

この劇場版は『A New Translation(新訳)』と謳っており、テレビシリーズからカットされた場面もあり、ラストを新しく作り直したり、とパラレルワールドのような雰囲気になっています。

新訳、という言葉通り、原典のテレビシリーズに新たな解釈を加え、異なる視点から物語を見直し、健やかな物語として再構成した作品です。

テレビ放送当時の映像を元にしつつ、新作カットも加わり3作とも90分前後でまとめられています。

全50話を3部にまとめているため非常にテンポよく話が進み、個人的には1本1本がラストまであっという間という印象です。

DVD版、Blu-ray版も発売されており、この3本でZガンダムの物語のおおまかな流れ、世界観を味わうことが出来ます。

第1作「星を継ぐもの」の特典映像の中で冨野監督が「A New Translationという言い方は、今回伊達だとは思っていません」とおっしゃっており、手ごたえを感じている様子がうかがえます。

その話しぶりはとても嬉しそうです。

テレビシリーズ全50話はちょっと…という方はこちらからではいかがでしょうか?

 

まとめ:Zガンダムはつまらない?わかりにくい理由とあらすじを簡単解説!

「機動戦士Zガンダム」における3大勢力、ティターンズ、エゥーゴ、アクシズについてみてきました。

地球連邦軍の2大派閥の内紛にジオン残党のアクシズが加わる、という構図でした。

最終的に一応の勝者はエゥーゴながら、エゥーゴ、ティターンズの両者は共倒れアクシズは兵力の大部分を残したまま撤退しました。

その戦乱に巻き込まれていった主人公カミーユや、たくさんのキャラクターたち。

Zガンダムはつまらない、わかりにくい、とされる方が多くいらっしゃるのも事実ですが、この物語の大きなうねりをぜひ体感していただければ、と思います。

僕は30年来この物語に魅了され、見返してみるといまだに新たな発見があります。

この記事が、Zガンダムに触れるきっかけとなってくれたならば嬉しいです。

今回は「Zガンダムはつまらない?わかりにくい理由とあらすじをネタバレ解説!」と題してお話させていただきました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。