手塚作品

『星の王子さま』のあらすじと感想をネタバレ解説!伝えたいことは?


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こんにちは!ウチの部屋へようこそ!

今回は、『星の王子さま』についてお話します。

『星の王子さま』というと、名前は知ってるけど、読んだことは…という方も多くいらっしゃると思います。

今回は、そんな方のために、あらすじを簡単にお伝えしたうえで、この物語の伝えたいことを僕の感想も交えて、そのエッセンスをお伝えできれば、と思っています。

ネタバレを含む内容になりますが、それを知ってもなお、この物語の魅力は失われないと思います。

パイロットの「ぼく」と遠い星からやってきた「王子さま」、この二人を中心にお話は進んでいきます。

内容は、王子さまが、自分の体験を「ぼく」に語る部分が6割ほどを占めています。

物語の中で語られる内容、言葉が、実に本質を突いているのです

僕は、この本を読み返す度に、あれ?と気が付く箇所が増えていったように感じます。

内容を知っていても、繰り返して読みたくなる理由です。

それでは、「『星の王子さま』のあらすじと感想をネタバレ解説!伝えたいことは?

行ってみましょう!

 


「王子さま」との出会いから中盤まで

このお話は、パイロットである「ぼく」が、6年前にサハラ砂漠に不時着した時の出来事を語る、というところから始まります。

不時着した「ぼく」は、飛行機の修理をして、再び故郷へ帰らなければなりません。

飲み水は1週間分。

最初の夜明けに、小さな子供に話しかけられ、目を覚まします。

この子供が「王子さま」です。

王子さまは、ある事情で自分の星から旅立ち、6つの星をめぐり、7番目に訪れたのがこの地球です。

地球に着いてから、薔薇の沢山植えられた庭を見つけ、きつねと出会い、別れ、そして「ぼく」と出会います。

王子さまは、何故自分の星から旅に出たか、自分の星を旅立ってから、6つの星で6人の大人に出会った話、地球についてからここにたどり着くまでの話を、パイロットの「ぼく」に1週間かけて話して聞かせます。

ここまで、物語の8割近くのページが割かれています。

1週間が経ち、飲み水がなくなってしまった、ぼくと王子さまは、砂漠に井戸を探しに出かけます。

…さて、物語の結末は?

このように、6年前、「ぼく」が「王子さま」から聞いた話を、読者に対して語っている、という構造になっています。

王子さまの旅立った理由

自分の星で自給自足の生活を営んでいた王子さま。そこに変化が訪れたのは、どこからともなくやってきた植物の種子。やがてその種子は花を咲かせます。これは実は薔薇の花なのですが、この時点では『花』としか記されていません。

花は擬人化されていて、王子さまに様々な要求をします。王子さまは、花を愛していたために、それに応え続けるのですが、そのことに疲れ始め、ついに愛する花との別れを選び、自分の星を出ていくことにします。

この時のことを「ぼく」にこう語ります。

彼女の言葉を聞いたばかりに辛くなって別れてしまった。言葉じゃなくて、行いを見れば良かった

彼女はその香りでぼくをみたしてくれた、彼女の言葉の中にあるやさしさを、その時にはわかってあげられなかった、と。

すれ違いから、王子さまと花は別れてしまったのです。

この、『』とだけ表現されていることが、非常に良い効果を生み出していると思います。

また、擬人化されていますが、王子さまの花は、象徴になっていると考えられます。

どこからともなくやって来て、王子さまと色々な言葉を交わし、やがてすれ違い、お互い望まない形で別れてしまう。

うまくいかなかった恋人同士のようですね。

花の姿かたちの表現から、これは薔薇かな、と見当が付けられる程度に留めていること、この別れ方が、この後の伏線、物語の契機になっているのです。

きつねが教えてくれた『大切なことは目には見えない』

そうして、地球へとたどり着いた王子さまは、薔薇の沢山植えられた庭へとやってきます。

そこで、王子さまは、自分の星に咲いた花は、特別なものではなく、どこにでもある、ありきたりの薔薇の花だったのだ、とひどく落ち込んでしまいます。

自分と、自分の花の関係は特別なものではなかった、誰にでもあるありふれたものだったと感じてしまうのです。

その落ち込んでいる王子さまのもとに、きつねが現れます。

王子さまは、きつねに『さみしいんだ、一緒に遊ぼう』と誘いますが、あっさり断られてしまいます。

そして、きつねは次のように語ります。

『まだ、君は僕をなつかせてはいない、だから、君とは遊べない。なつかせる、とは絆を作ることだ。 今はまだ、君は十万人の男の子の中の一人にすぎない。君から見た僕は、十万匹のきつねの中の一匹にすぎない』

『僕はパンを食べない。だから、僕には小麦畑は無用のもの。だけど、君の髪は金色だろう?君が僕をなつかせたなら、僕は小麦畑の金色を見るたび、君を思い出して幸せになる』

きつねと王子さまは、お互いに絆を作ることが出来ました。

…のですが、語られるのは『絆を作るためにはがまん強くなくてはいけない』『習慣が必要だ』しか条件のようなものは記されていません。

これは、お互いが相手と向き合い、思いやりを持って考え見つめることで、次第に生まれてくるのが絆というものだ、という意図なのだと解釈しました。

お互いに育てていく、ということをこの2つの言葉で表現しているのではないでしょうか。

この時、王子さまはきつねの言葉で、花が自分をなつかせた、花との間に絆があったことに気が付きます。

王子さまは、きつねにもう一度庭の薔薇に会いに行くよう告げられます。そのことで、王子さまの薔薇が特別なものだったことがわかる、と言うのです。

庭へ行くと、その薔薇たちが自分にとって「からっぽ」であることに王子さまは、気付きます。

もう王子さまは、自分の星から逃げ出した時の王子さまではありません。絆が作られていないことに気が付いたからです。

そこで改めて、自分の星に置いてきた自分の薔薇が特別な存在であることを自覚するのです。

再び、きつねのもとへ向かう王子さま。きつねは最後に『秘密を教える』として、こう話します。

『心で見なければよく見えない。大切なことは目には見えない』

この時に王子さまは、心で見る、ということに気が付きます。

そして、きつねはこうも告げます。

『なつかせた相手に対しては、ずっと責任があるんだ』

物語の始めには、花の言葉に振り回されるだけの王子さまでしたが、この気づきを得て、自分は薔薇の為に何が出来るか、という薔薇に対しての責任を感じるようになります。

これは、王子さま、きつね、薔薇だけの話でしょうか?

これは、私たちの日常にも起こることではありませんか?

大切な相手の気持ちを慮り、目の前の出来事に振り回されず、心の目で、相手のことを見つめている、と言えるでしょうか。

絆という信頼関係を作る前から、相手は自分の思い通りに動いてくれる、と思いがちです。

また、絆を作った相手には、ずっと責任があるということを、振り返って考えてみてはいかがでしょうか。

大切なものは目には見えない、だから、心の目でしっかりと見つめなければならない。

なつかせた相手には責任がある。

忘れてしまいそうな教訓を、ここでは教えてくれるような気がします。

 

砂漠の旅で井戸を見つける

物語はここで、最初の「ぼく」と「王子さま」が出会ってからの話につながるわけです。

繰り返しますが、この時点で物語の8割近くまで進んでいます。

「ぼく」が不時着してから1週間、つまり飲み水が尽きてしまいます。

そこで、ぼくと王子さまは砂漠に飲み水を探しに出かけます。それも王子さまは井戸を探す、と言うのです。

ここから、物語は結末に向かって動き出します。

砂漠で見つけた井戸

砂漠で井戸だって?そんな馬鹿げた話があるか、と「ぼく」は考えます。

砂漠を進むうち、やがて夜になり、王子さまはこんなことをつぶやきます。

『星がこんなにきれいなのは、目には見えない一本の花のせいなんだ』

『砂漠がきれいに見えるのは、どこかに井戸をかくしているせいだよ』

その言葉に「ぼく」も納得します。大切なものは目には見えないことだと。

これが、きつねが教えてくれた”秘密”の真実でした。

やがて、王子さまは疲れて眠ってしまいます。「ぼく」は王子さまを抱きかかえながら砂漠を歩くうちに、王子さまがこんなに美しいと感じるのは、その心の中に自分の花があるからなんだ、と気が付きます。

やがて、二人の前に井戸があらわれるのでした。

王子さまの告白

二人は井戸の水を飲み、それが二人で見つけられた喜びを分かち合います。

そして、王子さまは水を飲み終えると、自分が地球にやってきてから明日でちょうど一年になること、この井戸のそばが初めて地球に降りた場所であることを告げます。

ちょうど1年目のこの日、それは自分の星がこの地点の真上にやってくる日だったのです。

王子さまは、この日にあることを実行しようとします。

それは、自分の星へ帰り、薔薇への責任を果たすことでした。

1年前、初めて地球にやってきた日に、王子さまは、黄色い蛇に出会っていました。

蛇は『君を生まれた場所に返すことが出来る』と、告げます。

王子さまは1年後のこの日、蛇の力を借りて自分の星に帰るつもりでした。

その方法は蛇にかまれ、その毒が全身に回り、自分の星に帰ってゆく、というものでした。

このままでは、星は遠すぎて、体は重過ぎるというのです。

王子さまは、「ぼく」に、『夜空を見上げると、そのどこかに自分がいると考えてみたらいい。その時、星全部が自分の笑い顔にみえるはずだ、夜空の星は自分をどこかに隠しているから』と、告げるのでした。

果たして、王子さまはその夜、蛇にかまれ、自分の星に帰ってゆきます。

何故なら、夜明けには王子さまの体はどこにも見当たらなかったからです。

「ぼく」は王子さまは帰ってしまったことを理解します。

物語は「ぼく」のモノローグで幕を閉じます。

そこには、絆を作った相手の「王子さま」に対する、責任を果たそうとする言葉がつづられています。

大切なものは目には見えない:まとめ

いかがだったでしょうか。

『星の王子さま』のあらすじを、ネタバレも交えてお話しました。

きつねが告げたこの秘密の真実、

『心で見なければ、良く見えない。大切なものは目には見えない』

これは、色んな解釈が出来ると思います。

  • 相手のことを考える時に、心で見ていますか?
  • 自分の欲、都合で判断していませんか?
  • 相手への思いやりと責任を忘れていませんか?
  • 今の自分自身を、ちゃんと心で見ていますか?

この作品に触れるたびに、このきつねの言葉は、忘れてしまいそうなことを、いつでもどこでも思い出させてくれるように感じます。

「王子さま」と「王子さまの薔薇」の関係がとても愛おしく、責任を果たそうとする姿に心を打たれるものがあります。

今回は、『星の王子さま』のあらすじと感想をネタバレ解説!伝えたいことは?」というテーマでお話させていただきました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

大切なものを、心の目で見ていますか